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よく居酒屋などで、ビジネスマン風の人が、会社の上司や同僚の悪口を話しているのを聞くことがあります。「あいつのこういう性格が気にくわない」「こういう点にいつも腹が立つんだ」といったように、嫌いな理由を並べ立てるわけです。 しかしこういう人は、その嫌いな点について自分はどうなのかを自問自答してみる必要があります。他人の嫌いな点をことさら意識する場合は、自分の中にもそういう点があり、それを他人の中に見ていることが多いからです。たとえば、あいつはゴマスリだと非難する人は、自分の中にもゴマスリの面が潜んでいることが多いということです。 ヘルマン・ヘッセの『車輪の下』という小説の中にこんな一説があります。 「ある人間を憎むとすると、そのときわたしたちは自分自身の中に巣くっている何かを、その人間の像の中で憎んでいるのである。自分自身の中にないものが、わたしたちを興奮させることはないからだ」 あいつのこういう点が嫌いだという感情が頭をもたげたときは、自分自身をまず振り返るようにしたいものです。
アオイ福原(株)
尾道本店 小林英昭 |