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トヨタでは営業マンを営業部員でなく、「営業スタッフ」と呼びます。彼らはトヨタのクルマを売るための人間でなく、お客さまの仕事や生活をサポートし、よりよくするためのスタッフであるとアピールしているわけです。 この延長線上には、お客さまと営業マンではなく、「仲間」という意識を持ってもらいたいという発想があります。これこそ私が一流の営業マンに必要と考える、「協調」の精神です。 協調とは、「協力」と「調和」をバランスよく行うことです。「協力」は時間や行動を共有することで、それぞれが違う役割と個性を持っています。また「調和」は、違う役割を持った人たちが、1つの目標に向かって渾然一体となることです。「オレがリーダーだから、オレについてこい」「オレの言うとおりにやれ」というのは指導や統率であって、調和ではありません。 誰かが何か言わなくても、それが必要だと思えば自然に声をかけ、助け合う。「助けてくれ」と言われるのを待つのでなく、困っていそうだと思えば「何かしようか?」と声をかけるのが調和です。そして、これと協力を合わせたものが、協調になるわけです。 協調関係が築けると、お客さまは遠慮せず、問題点を言ってくれるようになり ます。仲間なら「言ったほうがお互いのためになる」と思えるからです。 要らないものについても、「要らない」とはっきり断ってくれます。「ノー」と言うのが苦痛になりません。ノーと言いたくないから、営業マンに会うのを避けるといったこともなくなります。 また「お客さまと営業マン」という関係なら、買いたいものがなければ会う理由はありません。一方、仲間なら、仕事にかかわらず会うでしょう。「また鈴木さんに来てもらいたい」「また鈴木さんのいる店に行きたい」となるわけです。 そこから「今回はインターネットで買うけど、次回は鈴木さんから買おう」と思ったり、「友だちにも鈴木さんの店を紹介しよう」としたりします。営業マンから特別働きかけをしなくても、自然にお客さまが売り上げに貢献してくれるのです。 一方で営業マンも、日ごろからお客さまに役立ちそうな商品や情報を探し、紹介する。そんな関係のお客さまを持てる人ほど、トップセールスマンに近づくことができるのです。 (参考:DIAMOND online コラム)
アオイ福原(株)
広島本店 石田 知也 |