日本経済はバブル崩壊後長きに渡り停滞の時代が続いています。一昔前の日本は、世界でもトップクラスの経済競争力を持ち、世界で最も豊かな国として君臨してきました。しかし、近年においてはアジアの大国中国にＧＤＰで追い抜かれ、また韓国等の新興国に追い上げられ、国際競争の中でその地位が揺らいでいます。さらに拍車をかけるように、東日本大震災、それに続く福島原発の問題によって、日本国内の経済はますますの苦境に立たされると共に、今後の見通しも決して明るいものではなくなっています。

　このような環境の中では景気の回復も見込めず、個人消費も落ち込み、結果少ないシェアを奪い合うように大企業の出店競争、販売競争ばかりが激化している状況です。そして、その影で、中小の企業が日々苦境に立たされていることが現状です。もちろん我々卸商しかり、お客様である印刷会社も例外なく苦境に立たされていますし、この状況はすぐさま好転するような様子はありません。

　こんな時代だからこそ、私たちは基本に立ち返り「シンプル　イズ　ベスト」の商売を心がけるのはどうでしょうか。まず商品知識を増やすこと。お客様の信頼を得る為に一番必要で一番単純な要素です。しかし、商品の情報も状況も日々変化しています。その変化についていく勉強を怠らないことが自身の成長につながることでしょう。そして、情報に対して常にアンテナを張ることも、基本的にして大事な要素です。今で言えば、震災以降の商品在庫状況や工場の操業状況もその一つであるでしょう。材料はいくらでもあります。仕入先との会話の中、社内で回ってくる資料など。大切なのは、その情報を自分の中に溜め込むことです。これは難しいことではありますが、意識して情報に当たっていれば不可能なことではありません。

　以上のことは、決して特別なテクニックなどではなく、極めて基本的でシンプルなことです。しかし、このことができて初めて私たちは、お客様の本当の相談相手足りうることができるのではないでしょうか。派手さは必要ありません。こんな苦境の時代であるからこそ、「シンプル　イズ　ベスト」の基本をもう一度見つめ直し、会社のため、自身のため共に戦いましょう。必ず何かしらの答えは返ってきます。そして、その答えは自分自身の財産になるはずです。